BtoBサイトのCVRが低い原因を理解する
BtoBサイトのCVR(コンバージョン率)は、BtoCと比較して一般的に低い傾向にあります。BtoBサイトの平均CVRは1〜3%程度とされており、問い合わせフォームの送信をコンバージョンとする場合は1%前後になることも珍しくありません。
BtoBサイトのCVRが低くなりやすい理由は以下の通りです。
- 意思決定者が複数:個人の判断では購買が完結せず、検討期間が長い
- 情報収集段階のユーザーが多い:すぐにコンバージョンする意欲がない
- コンバージョンのハードルが高い:問い合わせ=営業を受けるというイメージがある
- フォームの項目が多い:会社名、部署、役職など入力負荷が高い
これらの構造的な特性を理解した上で、適切な改善施策を実行することが重要です。
施策1〜3:フォーム最適化(EFO)
施策1:フォーム項目の削減と優先順位付け
BtoBのフォームで最も効果的な改善は、入力項目の削減です。多くの企業が「営業に必要だから」と項目を増やしがちですが、項目が1つ増えるごとにCVRは平均5〜8%低下します。
まずは以下の基準で項目を見直しましょう。
| 優先度 | 項目例 | 判断基準 |
|---|---|---|
| 必須(残す) | 会社名、名前、メールアドレス | 連絡に最低限必要 |
| 任意に変更 | 電話番号、部署名、役職 | 後日ヒアリングで取得可能 |
| 削除検討 | 住所、従業員数、予算規模 | 初回接触では不要 |
施策2:ステップフォームの導入
フォームを複数ステップに分割するステップフォーム(ウィザード形式)は、BtoBサイトのCVR改善に非常に効果的です。心理学でいう「フット・イン・ザ・ドア効果」により、最初の簡単な質問に回答したユーザーは、その後の質問にも回答しやすくなります。
具体的には、ステップ1で「ご相談内容」の選択(チェックボックス)、ステップ2で「会社情報」、ステップ3で「連絡先」のように分割します。
施策3:確認画面の廃止
フォーム送信前の確認画面は、実はCVRを下げる要因になっています。確認画面で「やっぱりやめよう」と離脱するユーザーは意外と多く、確認画面を廃止するだけでCVRが10〜20%向上するケースがあります。誤入力が心配な場合は、入力中のリアルタイムバリデーションで対応しましょう。
施策4〜5:CTA(行動喚起)の最適化
施策4:コンバージョンの段階を設計する
BtoBでは「いきなり問い合わせ」のハードルが高いため、段階的なコンバージョンポイントを設計することが重要です。
- 低ハードル:ホワイトペーパーDL、メルマガ登録、セミナー参加
- 中ハードル:資料請求、無料トライアル申込
- 高ハードル:問い合わせ、見積り依頼、デモ申込
検討初期段階のユーザーには低ハードルのCTAを、比較検討段階のユーザーには高ハードルのCTAを提示することで、各段階のユーザーを逃さずキャッチできます。
施策5:CTAの文言をベネフィット訴求に変える
「
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お問い合わせ」「資料請求」といった一般的な文言よりも、ユーザーが得られる価値を明示した文言の方がクリック率は向上します。
| 改善前 | 改善後 | 改善のポイント |
|---|---|---|
| お問い合わせ | 無料で改善提案を受ける | 得られる価値を明示 |
| 資料請求 | 成功事例集を無料でもらう | 資料の内容を具体化 |
| 見積り依頼 | 最短即日で見積りを取得 | スピード感を訴求 |
施策6〜7:サイト全体のCVR改善
施策6:導入事例ページの充実
BtoBの購買決定において、導入事例は最も影響力のあるコンテンツです。事例ページを充実させる際のポイントは以下の通りです。
- 業種・規模・課題のバリエーションを揃える
- 定量的な成果(数値)を必ず含める
- 導入前の課題→導入経緯→導入後の成果の流れで構成する
- 担当者の顔写真・コメントを掲載する(信頼性向上)
- 各事例ページにCTAを設置する
施策7:チャットボット・ポップアップの活用
サイト滞在中のユーザーに能動的にアプローチする手法として、チャットボットやポップアップの活用があります。特にBtoBサイトでは、以下のような条件で表示するのが効果的です。
- 料金ページを一定時間閲覧した場合
- 事例ページを3ページ以上閲覧した場合
- 離脱しようとした場合(exit intent)
MIP支援実績:IT企業E社のCVR改善ケーススタディ
クラウドERPを提供するIT企業E社は、サービスサイトからの問い合わせ数が月間15件と低迷していました。MIPがサイト全体のCVR改善プロジェクトを担当し、以下の施策を実施しました。
実施した施策と結果
| 施策 | 具体的な内容 | CVR変化 |
|---|---|---|
| フォーム項目削減 | 12項目→5項目に削減 | +38% |
| CTA段階設計 | ホワイトペーパーDLボタン追加 | 全体CV+65% |
| 導入事例充実 | 3件→12件に拡充(業種別) | 事例経由CV+85% |
| チャットボット導入 | 料金ページ閲覧者にポップアップ | +22% |
これらの施策を3ヶ月かけて段階的に実施した結果、月間の問い合わせ数は15件から42件に増加(180%向上)。ホワイトペーパーDLを含む全コンバージョン数は月間120件を超え、インサイドセールスチームの商談創出に大きく貢献しました。
特筆すべきは、広告費は据え置きのまま成果が向上した点です。CVR改善によってCPA(顧客獲得単価)は従来の1/3まで低下し、投資対効果の大幅な改善を実現しました。
まとめ
BtoBサイトのCVR改善は、フォーム最適化、CTA設計、コンテンツ充実の3つの軸で取り組むことが重要です。特にフォームの項目削減とコンバージョンの段階設計は、比較的短期間で効果が出やすい施策です。
BtoBならではの長い検討期間と複数の意思決定者の存在を考慮し、ユーザーの検討段階に応じた適切なコンバージョンポイントを設計することで、サイト全体のCVRを着実に向上させることができます。