「また会議か…議事録どうしよう…」多くのビジネスパーソン、特にリソースが限られるスタートアップや中小企業の経営者、マーケターの皆様にとって、会議とその後の議事録作成は悩みの種ではないでしょうか。会議に追われ、議事録作成に時間を取られ、気づけば情報共有が遅れ、重要な決定事項が曖昧に…そんな悪循環から脱却しませんか?
AI技術が急速に進化する今、会議のあり方も、議事録作成のプロセスも劇的に変えることができます。この記事では、Google Meetの文字起こし機能を起点に、Google Apps Script (GAS) と AI (Gemini API等) を連携させ、議事録の要約、ドキュメントへの追記、Slack通知、そしてGoogle Driveの共有フォルダへの自動整理・権限付与までを完全自動化する具体的な方法を、導入のメリットやステップと共に徹底解説します。
私たち株式会社MIPは、スタートアップを中心にマーケティングとAI活用を支援する会社です。この記事が、皆様の「会議DX」の一助となれば幸いです。
なぜ今、AIによる議事録の自動化が重要なのか?
日々の業務に追われる中で、「会議のための会議」や「議事録作成のための残業」は、もはや許容されません。特に変化の速い現代において、迅速な意思決定と行動は事業成長の生命線です。
スタートアップ・中小企業を悩ませる「議事録問題」
大企業に比べてリソースが限られるスタートアップや中小企業にとって、会議運営と議事録作成・共有の非効率は、見過ごせない経営課題です。
- 時間的コストの増大: 本来コア業務に集中すべき優秀な人材が、議事録作成というノンコア業務に時間を奪われています。
- 情報共有の遅延と質の低下: 議事録の完成が遅れれば、会議内容の共有も遅れます。また、作成者によって情報の粒度や解釈にバラツキが生じ、認識齟齬の原因となることも。
- ナレッジの散逸: 作成された議事録が適切に管理・共有されなければ、過去の議論や決定事項が埋もれてしまい、組織としてのナレッジが蓄積されません。
これらの「議事録問題」は、結果として生産性の低下、意思決定の遅延、そしてビジネスチャンスの損失に繋がりかねません。
AI技術がもたらす「会議DX」の夜明け
幸いなことに、近年のAI技術、特に自然言語処理技術の進化は目覚ましく、これまで人間が行ってきた知的作業の一部を代替・支援できるようになりました。音声認識による高精度な文字起こしはもちろん、AIによる長文読解と要約、さらには指定項目に基づいた情報抽出も実用レベルに達しています。
このAIの力を活用することで、「会議のDX(デジタルトランスフォーメーション)」、すなわち、会議プロセスの抜本的な効率化と価値向上が可能になるのです。
Google WorkspaceとAIで実現!議事録自動化システムの全貌
今回ご紹介する議事録自動化システムは、皆様が日常的に利用しているであろうGoogle Workspaceのツール群と、Google Apps Script (GAS)、そしてAI API(例: GoogleのGemini API)を連携させることで実現します。特別な高価なツールを導入する必要はありません。
システム構成の全体像
自動化のフローは以下のようになります。
- 会議と文字起こし: Google Meetで会議を行い、文字起こし機能を有効化します。(事前のカレンダー登録で「商談」などのキーワードを入れておくと、対象の会議を特定しやすくなります)
- メールトリガー: 会議終了後、Google Meetから文字起こしドキュメントのリンクが記載されたメールがGmailに届きます。これが自動化のトリガーとなります。
- GASによる処理開始: 設定した間隔でGASがGmailをチェックし、条件に合致する未読メールを検知します。
- 情報抽出とAI要約: メールから文字起こしドキュメントのURLを抽出します。 ドキュメントの全文テキストを取得します。 取得したテキストをAI APIに送信し、事前に定義した項目(例: ご相談内容、商品特徴、ネクストアクション等)に基づいて要約させます。
- ドキュメントへの自動追記: AIが生成した要約を、元の文字起こしドキュメントの先頭に、見出しと共に自動で追記します。
- 共有フォルダへの自動移動: 要約が追記されたドキュメントを、Google Driveの指定された共有フォルダ(例:
共有ドライブ/【全社公開】EC事業部/MDG/AI議事録
)に自動で移動します。フォルダの権限設定がファイルにも継承されるため、関係者への共有もスムーズです。 - Slack通知: 処理が完了した旨と、ドキュメントへのリンクを、指定されたSlackチャンネルにリアルタイムで通知します。
使用する主なツールと技術
- Google Meet: オンライン会議プラットフォーム。高精度な文字起こし機能が利用可能です。
- Gmail: メールの送受信。文字起こし完了通知メールをトリガーとして利用します。
- Google Apps Script (GAS): Google Workspaceの各サービスを連携させ、自動化処理を記述するためのローコード開発プラットフォーム。JavaScriptベースで記述します。
- Googleドキュメント: 文字起こしデータおよびAI要約が保存される場所。
- Google Drive: ドキュメントの保存、共有、フォルダ管理を行います。共有ドライブの活用で組織的な情報管理が可能です。
- AI API (例: Gemini API): Googleが提供する高性能な大規模言語モデル。長文の理解、要約、情報抽出などに活用します。APIキーを取得し、GASから呼び出して利用します。
- Slack: ビジネスチャットツール。処理結果の通知と迅速な情報共有に活用します。
AI議事録自動化で得られる5つの絶大なメリット
このシステムを導入することで、日々の業務にどのような変革がもたらされるのでしょうか。具体的なメリットを5つご紹介します。
- 議事録作成時間の劇的な削減: 従来、数十分から数時間を要していた議事録作成作業が、ほぼゼロになります。AIが要約のドラフトを自動生成するため、人間は最終確認と微調整に集中できます。
- 議事録の品質と網羅性の向上: AIは客観的な視点で、かつ指定された項目に基づいて情報を抽出・要約します。これにより、個人の記憶や解釈に頼ることなく、抜け漏れの少ない、質の高い議事録を安定して作成できます。
- 情報共有の迅速化と決定事項の徹底: 会議終了後、ほぼリアルタイムで要約付きの議事録がSlackで共有され、指定フォルダに格納されます。これにより、会議参加者だけでなく、関係者全員への情報伝達が迅速かつ正確に行われ、決定事項の周知徹底、ネクストアクションへのスムーズな移行が可能になります。
- 会議への集中度向上: 「議事録を取らなければ」という心理的負担から解放されることで、参加者は会議中の議論そのものにより集中できるようになります。これにより、会議自体の質も向上するでしょう。
- 検索性の向上とナレッジの蓄積: 全ての議事録がデジタルデータとして統一されたフォーマットで、指定フォルダに集約されるため、過去の議事録の検索が容易になります。これにより、組織全体のナレッジが効果的に蓄積・活用され、将来の意思決定や新しいアイデアの創出に繋がります。
導入ステップとスムーズな社内展開のコツ
このAI議事録自動化システムは非常に強力ですが、導入と社内展開を成功させるためにはいくつかのポイントがあります。
Step1: 準備と計画
- 目的の明確化: どの会議を対象とするか(例: まずは「商談」議事録から)、どのような項目で要約させたいか、誰と共有したいかを明確にします。
- 必要な情報の収集: SlackのWebhook URL、AI議事録を保存するGoogle Driveの共有フォルダIDなどを事前に準備します。
- APIキーの取得: Gemini APIなど、利用するAIのAPIキーを取得します。APIキーの管理は厳重に行ってください。
Step2: Google Apps Script の設定
- 提供されたGASコードをGoogle Apps Scriptエディタにコピー&ペーストします。
- スクリプト内の設定項目(Slack Webhook URL、フォルダID、AI APIキーのプロパティ名など)を、自社の環境に合わせて正確に設定します。APIキーはコードに直接記述せず、スクリプトプロパティに保存するのがセキュリティ上推奨されます。
Step3: 権限承認とトリガー設定
- スクリプトの初回実行時に、GmailやGoogle Drive、外部サービスへの接続など、必要な権限を承認します。
- スクリプトが定期的に(例: 15分ごと、1時間ごとなど)自動実行されるようにトリガーを設定します。
Step4: AIプロンプトの調整(要約の質向上の鍵)
- AIにどのような要約をさせるかは、プロンプト(AIへの指示文)の設計にかかっています。「ご相談内容」「ネクストアクション」といった具体的な項目を指定し、出力形式(例: 太字、改行)も明確に指示することで、より質の高い要約結果を得られます。試行錯誤しながら、自社に最適なプロンプトを見つけていくことが重要です。
Step5: 社内への展開と教育
- 運用ルールの策定と周知: Googleカレンダーへの会議登録時に、件名に特定のキーワード(例: 「商談」)を必ず含める。 Google Meet会議開始時に、必ず「文字起こしを開始」ボタンをクリックする。 これらのルールを関係者に周知徹底します。
- マニュアルの整備: 設定手順や運用方法、トラブルシューティングなどをまとめた簡易マニュアルを作成し、利用者が安心して使えるようにサポートします。
- スモールスタートとフィードバック: 最初は一部のチームや特定の会議から導入し、利用者からのフィードバックを収集しながら改善を進め、徐々に対象を拡大していくのがスムーズな展開のコツです。
株式会社MIPが、あなたの会社の「会議DX」を加速します
ここまで、Google WorkspaceとAIを活用した議事録自動化システムについて解説してきました。このシステムは、日々の業務効率を飛躍的に高める可能性を秘めています。
しかし、「自社でGASのコードを書くのは難しい」「AIのプロンプト設計に自信がない」「もっと高度な自動化や、他の業務へのAI活用も進めたい」といったお悩みをお持ちの企業様もいらっしゃるかもしれません。
株式会社MIPは、まさにそのような課題を抱えるスタートアップや中小企業の皆様を支援するために存在します。私たちは、最新のマーケティング戦略とAI技術を駆使し、お客様の事業成長を加速させることをミッションとしています。
- AI導入・活用コンサルティング: お客様の業務プロセスを詳細にヒアリングし、AIを活用した具体的な業務効率化、生産性向上、新たな価値創出のご提案から、実際のシステム導入、運用サポートまでを一気通貫で支援します。
- 業務自動化 (RPA・GAS等) 支援: 今回ご紹介したようなGASによる自動化はもちろん、より複雑な業務プロセスにはRPAツールの導入など、最適なソリューションをご提案し、構築をサポートします。
- マーケティング戦略支援: データに基づいたマーケティング戦略の策定、実行、効果測定まで、お客様のビジネスに深く寄り添い、成果に繋がるマーケティング活動をトータルで支援します。
「何から始めればいいかわからない」「うちの会社でもAIや自動化は活用できるのだろうか」 そんな疑問やご不安をお持ちでしたら、ぜひ一度、株式会社MIPにお声がけください。 私たちは、お客様のビジネスの可能性を最大限に引き出すための、最適なAI活用戦略と自動化ソリューションを共に考え、実現に向けて伴走します。
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