グローバル市場でビジネスを展開するWebサイトにとって、hreflangタグは単なる技術的設定以上の意味を持ちます。それは、「このサイトは、あなた(ユーザー)の言語と地域のためにこのページを用意しています」とGoogleに明確に伝える、国際的なSEO戦略の生命線です。
hreflangの設定を誤ると、日本語圏のユーザーに誤ってスペイン語のページが表示されたり、英語ページのSEO評価が各国語ページに分散したりする、致命的な問題が発生します。
この記事では、多言語サイトの運営者やマーケターの方々が、hreflangの基本的な役割から、Googleが公式に要求する「双方向リンク」のルールの徹底、そして大規模サイト向けの効率的な実装方法までを徹底解説します。御社の多言語サイトの国際的な検索評価を最大化し、適切なユーザーに適切なコンテンツを届けましょう。
そもそもhreflangタグとは何か?多言語サイトにおける役割
hreflangの導入は、多言語・多地域サイトが抱える二大課題「重複コンテンツ」と「ターゲットの不一致」を解決するための核となる施策です。
hreflangの定義:言語と地域に応じた適切なページの提示
hreflangタグは、Googleなどの検索エンジンに対し、「このページには、特定の言語や地域をターゲットにした代替ページが存在します」と通知するためのHTML属性、またはXMLサイトマップ要素です。
- 役割: 検索ユーザーの言語設定や地理的な所在地に応じて、最も適切な言語のページを検索結果に表示させる役割を担います。
- SEO上のメリット:
- 重複コンテンツの解消: 翻訳されたコンテンツや、ターゲット地域が異なる類似コンテンツが「重複コンテンツ」と誤認され、SEO評価が分散するのを防ぎます。
- ターゲットの正確性: 「日本にいる日本語話者」には日本語ページを、「アメリカにいる英語話者」には英語ページを正確に表示できます。
hreflangは、ランキングそのものを上げる要素ではありませんが、多言語サイトの評価を分散させず、ユーザー体験を劇的に向上させるための必須の技術です。
hreflangとCanonicalタグの使い分け:重複コンテンツ問題の解消
hreflangを実装する多言語サイトでは、必ずCanonicalタグと併用することになります。それぞれの役割を混同しないことが重要です。
| タグ名 | 目的 | 適用対象 |
| Canonical | 類似コンテンツの中から「正規の代表URL」を一つ指定し、評価を集約する。 | サイト内の重複コンテンツ |
| hreflang | 類似コンテンツの中から、「ユーザーの言語・地域に最も適したURL」を提示する。 | 他言語・他地域向けの代替URL |
例えば、日本の英語圏ユーザーに向けた英語ページ(https://example.com/en-jp/)は、そのページ自身の正規URLを示すCanonicalタグを持つと同時に、他の言語(日本語など)の代替ページを示すhreflangタグを持つことになります。
Google公式 hreflangの正しい記述ルールと必須要件
hreflangタグは厳格なルールに基づいて記述しなければなりません。特に「双方向リンク」のルールは、多くのサイトでエラーの原因となっています。
言語コードと地域コードの正しい記述(ISO 639-1 / ISO 3166-1 alpha-2)
hreflangの値は、「言語コード」または「言語コード-地域コード」の形式で記述します。
- 言語コード: ISO 639-1形式(2文字。例: 日本語=ja, 英語=en)
- 地域コード: ISO 3166-1 alpha-2形式(2文字。例: 日本=jp, アメリカ=us)
記述例:
| 目的 | 記述例 | 説明 |
| 日本語の全地域 | ja | 地域を限定しない日本語ユーザー向け |
| 米国にいる英語ユーザー | en-us | 言語と地域を限定 |
| 英語の全地域 | en | 地域を限定しない英語ユーザー向け |
間違ったコードや、存在しない地域コードを使用すると、hreflangタグ全体が無効になるため、正確な記述が必須です。
最重要ルール:双方向リンク(リターンタグ)と自己参照の徹底
hreflang設定で最も頻繁に発生するエラーの原因であり、Googleが厳しく要求するのが「双方向リンク」です。
- 双方向リンク(リターンタグ): AページがBページを代替ページとして指定した場合、Bページも必ずAページを代替ページとして指定しなければなりません。もしBページにAページへのリンクがない場合、GoogleはAページの
hreflangを無効と判断します。 - 自己参照: 各ページは、自分自身も代替ページの一つとして指定する必要があります。
記述例(日・英の2ページ構成の場合):
| ページURL | hreflangタグに含めるべきリンク |
日本語ページ (/ja/) | 1. 日本語ページへの自己参照 2. 英語ページへのリンク |
英語ページ (/en/) | 1. 英語ページへの自己参照 2. 日本語ページへのリンク |
この双方向・自己参照の原則は、hreflangタグの信頼性を担保するためのGoogleの必須要件です。
x-defaultタグの戦略的な活用:ターゲット外のユーザーへの対応
x-defaultタグは、どの言語も地域も指定しなかったユーザーに対して表示するデフォルトのページを指定するために使用します。
| 目的 | 記述例 | 利用シーン |
| デフォルトページ指定 | hreflang="x-default" href="URL" | 訪問者に言語を選択させる「言語選択ページ」や、特にターゲットを絞らない「国際英語(en-usではなくen)」のページ |
x-defaultを適切に設定することで、ターゲット設定に含まれないユーザー(例: ドイツにいるスペイン語話者など)を、最も適切な着地点に誘導することができます。
hreflangの3つの実装方法:HTML、HTTPヘッダー、XMLサイトマップ
hreflangタグの記述方法には、主に3つの選択肢があり、Webサイトの規模やコンテンツの種類によって適切な方法を選択する必要があります。
実装方法1: HTMLのhead内へのlink要素記述(小規模サイト向け)
最も一般的で、小規模なWebサイトやCMSで広く使われる方法です。
- 記述場所: 各ページのHTMLの
<head>セクション内。 - メリット: 実装が簡単で、ページのソースコードを見ればすぐに確認できる。
- デメリット: ページ数が増えるにつれて、
<head>内の記述量が膨大になり、ページの表示速度に影響を与える可能性がある。
記述例:
HTML
<link rel="alternate" hreflang="en" href="https://example.com/en/page-a" />
<link rel="alternate" hreflang="ja" href="https://example.com/ja/page-a" />
<link rel="alternate" hreflang="x-default" href="https://example.com/page-selector" />
実装方法2: HTTPヘッダーでの記述(PDFなどHTML以外向け)
HTMLファイルを持たないPDFやその他のドキュメントを多言語対応させる場合に利用される特殊な方法です。
- 記述場所: サーバーがクライアントに返すHTTPレスポンスヘッダー内。
- メリット: HTMLのないファイルでも多言語対応が可能。
- デメリット: サーバー側の設定(.htaccessなど)が必要で、実装の難易度が最も高い。
実装方法3: XMLサイトマップでの記述(大規模サイト向け)
大規模なWebサイトで、hreflangの管理を一元化し、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えるために推奨される方法です。
- 記述場所: 既存のXMLサイトマップファイル内、または専用のサイトマップファイル。
- メリット: ページの読み込み速度に影響を与えず、何万ページもの
hreflangを一箇所で管理できる。 - デメリット: 設定ファイルの編集とSearch Consoleへの再送信が必要。
大規模サイトの場合、このサイトマップによる実装が最も効率的かつ推奨される手段です。
hreflang設定ミスの検出とエラー対策(Search Console活用)
hreflangは、設定が複雑であるため、エラー発生率が高い技術です。設定後の検証とエラー対策は、継続的な運用の一部です。
共通のエラーパターン:言語コードのミスとリターンタグの欠如
Googleがhreflangを認識できない、または無視する原因となる主なエラーパターンは以下の2つです。
- リターンタグの欠如: 前述の通り、A→Bの参照はあるが、B→Aの双方向(リターン)の参照がない。これが最も頻繁に発生するエラーです。
- 無効な言語/地域コード:
en-UKのように小文字で記述すべき地域コードを大文字で記述するなど、ISO規格に準拠していないコードを使用している。
これらのエラーは、hreflangタグ全体を無効にする可能性があるため、特に注意が必要です。
Search ConsoleのURL検査ツールを使ったhreflangのステータス確認
以前はSearch Consoleに「インターナショナルターゲティング」レポートがありましたが、これは廃止されました。現在、hreflangのエラーを確認するための主な手段は、URL検査ツールです。
- URL検査ツールの利用: Search Consoleの最上部にあるURL検査ボックスに、
hreflangを設定したページのURLを入力します。 - 結果の確認: レポート内の「インデックス登録」セクション、または「ページの情報」セクションで、Googleが代替ページとして認識しているURLがリストアップされているかを確認します。
- 警告のチェック: 意図した代替ページが正しく表示されない場合や、警告が表示された場合は、双方向リンクや記述コードに間違いがないかを確認します。
設定の正確性は、自社のシステムでテストするだけでなく、Googleが実際にどう認識しているかをSearch Consoleで確認することが最終確認となります。
まとめ:hreflangは「ユーザー中心の国際化」を実現する
hreflangタグは、多言語展開におけるWebサイトのSEO評価を守り、ユーザー体験を最適化するための不可欠な「翻訳」役です。
hreflangは、多言語サイトの重複コンテンツ問題を解消し、評価シグナルを分散させないための必須ツールである。- 双方向リンク(リターンタグと自己参照)の徹底が、
hreflang設定における成功の鍵であり、最も注意すべき点である。 - 大規模サイトはXMLサイトマップでの一元管理を、ターゲット外のユーザーへはx-defaultの利用を戦略的に検討すべきである。
この技術的な要素を正しく実装することで、御社のWebサイトは世界中のユーザーに対し、「これはあなたに向けたコンテンツです」というメッセージを正確に伝え、国際的な検索市場での競争力を高めることができます。
もし、hreflangの複雑な実装、大規模サイトでのエラー管理、あるいは多言語サイトのSEO戦略全体にお悩みであれば、私たち株式会社MIPにご相談ください。Googleの公式ガイドラインと、グローバル展開の実務的なノウハウに基づき、貴社のWebサイトの国際化を成功に導く戦略をサポートいたします。